○東通村自然環境保全に関する条例

平成16年3月19日

条例第19号

目次

第1章 総則(第1条~第6条)

第2章 良好な自然環境保全に関する基本方針(第7条)

第3章 良好な自然環境の保全(第8条~第17条)

第4章 自然環境保全地域(第18条~第23条)

第5章 良好な自然環境保全に関する施策(第24条~第29条)

第6章 補則(第30条)

附則

前文

わたしたちの住む東通村は、本州の最北東部に位置し、東は太平洋、北は津軽海峡に面し、変化に富んだ美しい海岸線を有している。また、四季折々の変化に富んだ豊かで美しい自然の恩恵を受けながら、わたしたちの先人の地域に根ざした生活は、悠久の歴史のなかで郷土色豊かな風俗習慣、日本に誇る伝統芸能等の文化を育んできた。

しかしながら、経済性や利便性を追求した社会は、環境問題を発生させ、さらにはわたしたち人類の存在基盤である地球自体の環境をも脅かすに至っており、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な循環型社会を協働して形成することが求められている。

わたしたちの村でも、ふるさとの森と川と海を守るため、漁業者と農業者が手を携えての植林活動や、村民総出の清掃活動も実施されるなど、自然を大切にしようとする相互理解も深まっている。

わたしたちは、東通村がもつ、「良好な環境」に親しみ、育み、保全することにより、これを揺るぎない形で次の世代に引き継ぐことを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本村の森林、河川、湖沼及び海岸が、農林水産業の生産活動及び人の生活と結びついて地域の文化を形成していることに鑑み、東通村の良好な自然環境の保全に関し、村、村民、事業者及び村内に滞在し、又は村内を通過するすべての人々(以下「滞在者等」という。)の責務を明らかにし、良好な自然環境の保全に関する基本となる事項を定めるとともに、その措置について必要な事項を定めることにより、東通村の良好な自然環境の保全を図り、現在及び将来の村民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(財産権の尊重及び他の公益との調整)

第2条 良好な自然環境の保全に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、他の公益との調整に留意しなければならない。

(村長の責務)

第3条 村長は、良好な自然環境を確保するための基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施するものとする。

2 村長は、自然環境の保全のために広域的な取り組みを必要とする施策については、国及び他の地方公共団体と協力して、その施策の推進を図るものとする。

(村民の責務)

第4条 村民は、自ら良好な自然環境の確保に努めるとともに、村長が実施する良好な自然環境の確保に関する施策に協力しなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、その事業活動の実施に当たっては、自ら良好な自然環境の確保に努めるとともに、村長が実施する良好な自然環境の確保に関する施策に協力しなければならない。

(滞在者等の責務)

第6条 滞在者等は、自ら良好な自然環境の確保に努めるとともに、村長が実施する良好な自然環境の確保に関する施策に協力しなければならない。

第2章 良好な自然環境保全に関する基本方針

(基本方針)

第7条 村長は、自然環境ができる限り自然の状態で維持されることを基本として、良好な自然環境保全に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

2 基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 良好な自然環境保全に関する基本構想

(2) 自然環境保全地域(以下「保全地域」という。)に関する基本的事項

(3) その他良好な自然環境の保全に関する重要な事項

3 村長は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、東通村環境審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。

4 村長は、基本方針を定めたときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、基本方針の変更について準用する。

第3章 良好な自然環境の保全

(村の花、村の木、村の鳥の愛護)

第8条 何人も村の花ノハナショウブ、村の木イチイ、村の鳥オオセグロカモメ(平成元年6月14日制定)を慈しみ、親しみ、保存に努めなければならない。

(保護生物の指定)

第9条 村長は、良好な自然環境の保全を図るため、必要があると認めるときは、村内に生息する動物及び生育する植物のうち特に貴重な動植物を保護動物又は保護植物(以下「保護生物」という。)として指定することができる。

(植生等保全区域の指定)

第10条 村長は、保護生物の保存に当たり、必要があると認めるときは、保護生物が集団で生存している区域を植生等保全区域として指定することができる。

2 村長は、植生等保全区域を指定しようとするときは、あらかじめ所有者の同意を得なければならない。

3 村長は、植生等保全区域が保護生物の枯死等により植生等保全区域として価値を失ったとき、又は、特別な事情があると認めるときは、第1項の規定による指定を解除することができる。

4 村長は、植生等保全区域の指定又は解除したときは、その旨を告示しなければならない。

(植生等保全区域の管理)

第11条 植生等保全区域に係る土地の所有者は、当該植生等保全区域に生存する保護生物の健全な保存に努めなければならない。

(植生等保全区域に係る行為の届出)

第12条 植生等保全区域に係る土地の所有者は、当該植生等保全区域内の現状の変更をしようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめその内容を村長に届け出なければならない。所有権を移転し、又は所有権以外の権利を設定し、若しくは移転しようとするときも同様とする。

2 前項の規定は、通常の管理行為、軽易な行為のものについては適用しない。

3 植生等保全区域に係る土地の所有者は、当該植生等保全区域の保護生物が枯死等により植生等保全区域として価値を失ったときは、速やかにその旨を村長に届け出なければならない。

(植生等保全区域に係る指導又は助言)

第13条 村長は、植生等保全区域に係る土地の所有者に対し、当該植生等保全区域の保護生物の枯死の防止その他の保存に関し、必要な助言又は指導することができる。

(駆除生物の指定)

第14条 村長は、良好な自然環境の保全を図るため、必要があると認めるときは、良好な生物生態系を著しく損ねるおそれのある動物又は植物(以下「駆除生物」という。)を指定し、その駆除に当たることができる。

2 村長は、駆除生物の駆除に関し必要があると認めるときは、国、地方公共団体その他公共団体に対し、必要な措置を講ずるよう協力を要請することができる。

3 村長は、駆除生物の駆除に関し必要があると認めるときは、土地の所有者、占有者又は管理者に対し、協力を求めることができる。

4 第1項の規定は、農業、林業又は漁業を営む行為に係る動物及び植物については、適用しない。

(眺望地点の指定)

第15条 村長は、東通村らしい風景を眺望できる地点を眺望地点として指定することができる。

2 村長は、眺望地点を指定しようとするときは、あらかじめその所有者及び占有者(以下「所有者等」という。)の同意を得なければならない。

3 村長は、眺望地点の指定をしたときは、これを告示しなければならない。

4 前2項の規定は、眺望地点の指定の解除について準用する。

(眺望地点の整備等)

第16条 村長は、眺望地点の整備に努めるとともに、眺望地点を含む土地の所有者等に対し、必要な措置を講ずるよう協力を要請することができる。

(自然環境保全巡視員の設置)

第17条 村長は、良好な自然環境の保全を図るため、必要があると認めるときは、自然環境保全巡視員を置くことができる。

第4章 自然環境保全地域

(保全地域の指定)

第18条 村長は、森林、河川、湖沼及び海岸の区域(これらと一体となって自然環境を形成している区域を含む。)のうち、良好な自然環境の保全を図る上で特に重要な区域を自然環境保全地域(以下「保全地域」という。)として指定することができる。

2 前項に定める保全地域における無秩序な開発を規制し、良好な自然環境の保全に努める地域を開発規制区域として指定することができる。

3 自然環境保全法(昭和47年法律第85号)第14条第1項により指定された原生自然環境保全地域、同法第22条第1項の規定により指定された自然環境保全地域、自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第1号に規定する自然公園又は青森県自然環境保全条例(昭和48年条例第31号)第14条、第23条第29条に規定する青森県自然環境保全地域、青森県開発規制区域、青森県緑地保全地域の区域は、保全地域に含まれないものとする。

4 村長は、保全地域を指定しようとするときは、あらかじめ、青森県、関係する国有林野の管理者、区域の土地の所有者及び審議会の意見を聴かなければならない。この場合においては、次条に規定する保全地域に関する保全計画の案についても、併せて、その意見を聴かなければならない。

5 村長は、保全地域の指定をしようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を公告し、その案を当該公告の日から2週間縦覧に供しなければならない。

6 前項の規定による公告があったときは、当該区域に係る住民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された案について、村長に意見書を提出することができる。

7 村長は、保全地域の指定をしようとする場合は、その旨及びその区域を公示しなければならない。

8 保全地域の指定は、前項の規定による公示によってその効力を生じる。

9 第4項前段及び前2項の規定は、保全地域の指定の解除及びその区域の変更について、第4項後段第5項及び第6項の規定は、保全地域の区域の拡張について準用する。

(保全計画)

第19条 村長は、保全地域を指定するときは、当該保全地域における良好な自然環境保全に関する計画(以下「保全計画」という。)を定めなければならない。

2 保全計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 保全すべき自然環境の特質、その他良好な自然環境の保全に関する基本的事項

(2) 当該地域における自然環境の保全のための規制に関する事項

(3) 保全についての施策に関する事項

3 村長は、保全計画を定めたときは、遅滞無く、これを公表しなければならない。

4 第18条第4項の前段及び前項の規定は、保全計画の廃止及び変更について準用する。

(保全地域における特定行為の制限)

第20条 保全地域のうち、開発規制区域において、次に掲げる行為(以下「特定行為」という。)をしようとする者は、当該特定行為に着手する日の50日前までに、規則で定めるところにより、特定行為の種類、場所、施行方法、着手予定日その他規則で定める事項を村長に届け出なければならない。

(1) 建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。

(2) 土地を開墾し、宅地を造成し、その土地の形質を変更すること。

(3) 鉱物を採掘し、又は土石(砂を含む。)を採取すること。

(4) 水面を埋立て、又は干拓すること。

(5) 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。

(6) 木竹を伐採すること。

2 前項の規定は、次に掲げる行為については、適用しない。

(1) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為

(2) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、良好な自然環境保全に支障を及ぼすおそれのないもので、規則で定めるもの

(3) 法令に基づく許可、認可、届出等を要する行為のうち、良好な自然環境に支障を及ぼすおそれのないもので規則で定めるもの

(4) 国又は地方公共団体が行う行為

(5) 農業、林業又は漁業を営むための行為

(6) 自己の居住の用に供する住宅の新築、増築、改築、移転又は撤去

(7) 保全地域が指定され、又はその地域が拡張された際、当該指定又は拡張に係る地域内において着手している行為又は当該指定若しくは拡張の日から起算して50日以内に当該指定若しくは拡張に係る地域内において着手する行為

(8) その他規則で定める行為

3 第1項の規定による届出をした者は、当該届出に係る事項のうち規則で定める事項を変更しようとするときは、当該行為に着手する日の50日前までに、規則で定めるところにより、その内容を村長に届け出なければならない。ただし、次条第1項の規定による指導に従うことにより、変更を生ずるときは、この限りでない。

4 村長は、第1項又は前項の規定による届出(以下「特定行為届」という。)をしなければならない者が特定行為届をしないで特定行為に着手したときは、その旨を公表することができる。

5 村長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表に係る者に口頭で意見を述べ、又は意見書を提出する機会を与えなければならない。

(特定行為に係る指導等)

第21条 村長は、特定行為があった場合において、当該特定行為届に係る特定行為が良好な自然環境に支障を及ぼすと認めるときは、当該特定行為届をした者に対し、書面により、良好な自然環境保全のため必要な措置を講ずるよう指導することができる。

2 前項の規定による指導は、特定行為届があった日から起算して30日以内にしなければならない。

3 村長は、第1項の規定による指導を受けた者が、当該指導に従わない場合において、良好な自然環境を図る上で著しい支障があると認めるときは、書面により、当該指導に従うよう勧告することができる。

4 前項の規定による勧告は、特定行為届があった日から起算して50日以内にしなければならない。

5 村長は、第3項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ、その者に口頭で意見を述べ、又は意見書を提出する機会を与えなければならない。

6 村長は、第3項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。この場合においては、前項の意見又は意見書の内容を審議会に報告しなければならない。

7 村長は、第3項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、その旨及び当該勧告の内容を公表することができる。

(無届特定行為者に対する措置)

第22条 村長は、特定行為届をしないで特定行為に着手した者(以下「無届特定行為者」という。)に対し、当該特定行為の種類、施行方法、施行日程その他必要な事項について報告を求めることができる。

2 村長は、前項の報告により無届特定行為者に係る特定行為が良好な自然環境保全を図る上で著しい支障を及ぼすと認めるときは、書面により、良好な自然環境保全のために必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

3 前条第5項及び第6項の規定は、前項の規定による勧告をしようとする場合について、同条第7項の規定は前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わない場合について準用する。

(自然環境保全協定の締結等)

第23条 村長は、保全地域及び保全地域以外の地域における環境保全のために必要があると認めるときは、特定行為者又は事業者に対して、自然環境の破壊の防止、植生の回復その他良好な自然環境保全のために必要な事項を内容とする協定(以下「保全協定」という。)の締結のための交渉の申入れをしなければならない。

2 特定行為者又は事業者は、前項の申入れがあったときは、誠意をもってこれに応じなければならない。

3 村長は、特定行為者又は事業者と保全協定を締結した場合において、その特定行為者又は事業者がその協定に違反する行為をしようとし、又はしたと認められるときは、その協定の履行の確保について必要な措置を講じなければならない。

第5章 良好な自然環境保全に関する施策

(良好な自然環境の保全に資する施策)

第24条 村長は、良好な自然環境保全に資するため、地域に応じた樹種の植栽、人と自然との豊かな触れ合いの確保等を考慮した森林、河川及び海岸の一体的な整備その他必要な施策を講ずるものとする。

(啓発)

第25条 村長は、村民、事業者及び滞在者等の良好な自然環境についての関心と理解を深めるため、学習の機会の提供、広報活動の充実等必要な措置を講ずるものとする。

2 村長は、良好な自然環境の保全を図る上で、稀少植物等の盗掘を未然に防止するための必要な措置を講ずるものとする。

(民間団体等の自発的な活動の促進)

第26条 村長は、村民、事業者及び滞在者等又はこれらの者の組織する特定非営利活動法人その他の民間団体が自発的に行う良好な自然環境保全に関する活動が促進されるような措置を講ずるものとする。

(支援等)

第27条 村長は、前条により実施する活動に対し、必要な助言及び協力その他の支援措置を講ずるものとする。

(表彰)

第28条 村長は、良好な自然環境の保全に著しく貢献したと認める者を表彰することができる。

(分担金、負担金等)

第29条 村長は、保全計画による施策を執行する場合において、その事業の執行により著しく利益を受ける者があるときは、その者に利益の限度において、その保全事業の執行に要する費用の一部を負担させることができる。

2 村長は、保全計画による施策を執行する場合において、その保全事業の執行が他の工事又は他の行為により必要となったものであるときは、その原因となった工事又は行為について費用を負担する者に、その保全事業の執行が必要となった限度において、その保全事業の執行に要する費用の全部又は一部を負担させることができる。

第6章 補則

(施行事項)

第30条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成16年4月1日から施行し、平成16年10月1日から適用する。

東通村自然環境保全に関する条例

平成16年3月19日 条例第19号

(平成16年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第4章 環境保全
沿革情報
平成16年3月19日 条例第19号